県内リレーエッセイ

『バリアフリーなあそびば』へようこそ♡

南長野運動公園に集まる人、人の波…
手にはかわいい雑貨に、すくった金魚
とある子が持つのは風船にわたあめ
親子でお弁当やスイーツをほおばる姿
お客さんの中には車いすに乗る子や、ぴょんぴょん飛び跳ねる人も
ここにはいろいろな人が集まっているけれど、みんな笑顔♡

私たち【バリアフリースタイルルルカ】は、「障がい児育児を楽しく♪」することを目的に2020年に立ち上げられた団体です。

冒頭に書いたのは、【バリアフリースタイルルルカ】が2022年10月30日に開催したイベント『オリスタマルシェ』での一コマ。
その日、南長野運動公園に現れたのは『バリアフリーなあそびば』。

「ママー! ドッヂビー楽しいよ!」
(ドッヂビーは布製のフライングディスクのことです)
そして走ってきたのは、3年生になった娘。
補聴器をつけて、少し短い腕、ひまわりのように眩しい笑顔!
娘との『バリアフリーなあそびば』を一番願っていたのは私。
私は、しみじみと【バリアフリースタイルルルカ】の始まりのことを思い出しました。

【バリアフリースタイルルルカ】の原点は9年前。
私の人生においてたくさんの学びを与えてくれる、娘の誕生がきっかけです。

娘は、9年前「アントレ―ビクスラー症候群」という病気をもって生まれてきました。
とても珍しい病気で、今まで同じ病気の方にお会いしたことがありません。
(バリアフリースタイルルルカの活動を続けていたら繋がれるかな?とちょっと期待している親子です♪)

1人目が健康で生まれてきたから、2人目も健康で生まれてくるものだと思っていました。
しかし妊娠時に異常がわかりました。
出産できるのは、安曇野市の長野県立こども病院しかないと、こども病院へ転院することになりました。
そして誕生した娘は、NICUへ。

「私は、この先きっと仕事はできないだろう」
「旅行なんて一生できないだろう」
すべてができないと決めつけていました。

でも医療スタッフの皆様に支えられ、2カ月後、娘はNICUから退院し、家で家族と過ごすことができるようになりました。
そして、2年後。娘は保育園に入園しました。
それから4年後。保育園の先生やプランナーさん、ママ友たちに加え、市の心理士さん、教育委員会の相談員の先生、進学先の先生たちなどに支えられ、地域の小学校に入学することができました。

今まで娘が受けた手術は4回。今も検査や通院を続けています。
でも娘を、私たち家族を支えてくれる方々はもとより、
いつもニコニコ毎日本当に楽しそうに生活をしているそんな娘の笑顔に支えられています。
娘は、生まれてきたことが奇跡。
今こうして一緒に笑ったり、出かけたり、話をしたり、家族で一緒に生活を共にできることは当たり前ではないと感じています。

だからこそ娘には明るく楽しく彩られた人生を生きてほしい。
障がいがあるからとあきらめるのではなく、どうしたらできるのかを考え、いろいろなことに家族で挑戦してきました。
そして、障がい児育児を楽しむ心の余裕が生まれてきました。
NICUで泣いていた私から障がい児育児を楽しむ私へ♡
「障がい児育児を楽しく♪」【バリアフリースタイルルルカ】のはじまりです。

【バリアフリースタイルルルカ】の最初の一歩は、食のバリアフリーの活動から始まりました。
「食べることの困難さがある子でも、おいしく楽しく食べられる工夫をしたい」
そんな思いで、ちょっと特別な日にみんなで食べられるインクルーシブ・フードを開発したり、使いやすい食器やカトラリーの紹介をしたりしてきました。

特別支援学校様からオーダー品インクルーシブ・スイーツ
フルーツ王国NAGANOの美味しいフルーツをたっぷりインクルーシブ・フルーツパフェ
(インクルーシブ・スイーツとは・・・えん下障害があるなしにかかわらずみんなが食べられるスイーツです)

私の子育てにおいて「食べること」はとっても重要でした。
娘と12歳違いの息子の「辛い反抗期を乗り越えるためには胃袋を掴め!!」と先輩ママから教えられ、毎日おいしいご飯をつくってきたおかげで、反抗期を終えた息子と仲良し親子でいられる今があると思っています。
反抗期の息子に「クソババア」と舌打ちされましたが、
クソババアと舌打ちしながらも、おなかは空くのだ!
(実は胃袋を掴む♡別エピソードもありますが、恥ずかしくて書けないので、聞きたい方はお会いしたときに聞いてください(o^―^o) 喜んでお答えします)

息子と対照的に娘の「食べる」ことは一筋縄ではいきません。
娘は上腕骨癒合で生まれつき肘関節がなく、食事をするのに工夫が必要です。
食べるのが苦痛になっていた娘にどうにか楽しんで食べてほしい♡食べるって楽しいを伝えたい♡と、一緒にご飯をつくって食べることを始めました。
一緒につくって食べるって最高なコミュニケーションの時間。みんなにそんな経験をして欲しくて料理教室【Ruruka kitchen】を始めました。
(娘は見事に今では私の良きアシスタント候補に成長。正式アシスタントになるにはまだまだ私の特訓が待ち受けています。)
さて、そんな私の教室に来た、食べること大好きな生徒の1人が特別支援学校の先生でした。
「障がいがあっても、おいしく食べられるっていいよね、大事だよね!」
お酒を飲みながら意気投合!
コロナ禍の2020年、【バリアフリースタイルルルカ】を立ち上げました。

食だけじゃなくて、
障がいの有無にかかわらず衣食住に潤いと楽しみを。
日々の衣食住だけじゃなくて、
障がいの有無にかかわらず特別な日常を。
冒頭に紹介した、障がいの有無にかかわらず楽しめる『バリアフリーなあそびば』づくりが
今私たち【バリアフリースタイルルルカ】が力を入れて行なっている活動の一つです。

娘を育ててきた9年間、たくさんの方に支えられてきました。
その方々に感謝を伝えたい。
私と同じような環境にいて、悩んでいるご家族に、私の経験を伝えたい。
そして、私たちを取り巻く社会に理解を深めてもらいたい。
そんな思いが今の私の活動の原動力です。

さあ皆さん、ようこそ『バリアフリーなあそびば』へ♡

著者プロフィール

西條智香(Ruruka)
Ruruka kitchen代表。バリアフリースタイルルカ代表。大学3年男子と小学3年生女子のママ。『障がい児ママでも自分らしく♡ たのしく♪』仕事を持ち、障がい児育児を楽しんできました。同じように障がい児を育てるママが輝くお手伝いをします♪

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